「いきなり!ステーキ」大量閉店の背景に迫る!顧客離れが招いた厳しい現実とは
 業績の急悪化で「いきなり!ステーキ」を130店舗閉店した株式会社ペッパーフードサービスが赤字から脱却できません。2022年12月期は5億300万円の経常損失。もともとは4億6100万円の経常利益を予想していました。

ペッパーフードサービスは、業績悪化の要因を同業態同士の食い合いが起こっていると説明していました。しかし、大量閉店後も集客に苦戦している様子が浮かび、客離れが深刻化している可能性があります。

◆コロナ禍の前からすでに赤字だった

ペッパーフードサービスの2022年12月期の売上高は147億円。全盛期だった2019年12月期の675億円から4分の1以下の水準まで落ち込みました。

コロナ禍が深刻化する前の2019年12月期に、すでに赤字となりました。過剰出店により、1店舗当たりの収益性が悪化したのです。ペッパーフードサービスは2018年12月期に、出店数200店舗という目標を掲げました。

◆出店数を目標にしたのが失敗だった?

売上高や利益ではなく、出店数を追いかけていたのです。いきなり!ステーキは都市部繁華街の狭小地に出店し、ステーキの立ち食いで人気を博したレストラン。高単価で回転率が高いことが稼げるポイントでした。

しかし、出店数を目標に掲げたころから、ファミリーレストランタイプのロードサイド業態やフードコートへの出店を強化し始めます。

◆親子客はファミレスを選んでしまう

繁華街の立ち食いスタイルの場合、メインのターゲットは会社員となります。当時、いきなり!ステーキのヒレステーキは1g8円で、200gからの注文となっていました。つまり最低でも食事代は1600円になります。

これは明らかに肉好きに適したスタイル。お金に余裕がある会社員であれば、抵抗はありません。しかし、子供連れの親子客であれば話は別。一度来店して高額だと感じれば、手軽なメニューがそろうファミリーレストランに足を運びます。

ペッパーフードサービスは出店数にこだわりすぎたため、自分の首を絞めていることに気が付いていませんでした。

同業態同士で食い合うカニバリズムだけでなく、過剰出店によるターゲットのミスマッチが起こっていたのです。

◆ペッパーランチを売却して店舗数を縮小

Googleトレンドで「いきなり!ステーキ」を検索してみました。ご存じかもしれませんが、Googleトレンドは検索動向を表しています。

ペッパーフードサービスは、2019年11月14日に突如として25億円の最終赤字になると発表したため、その前後で検索数が跳ね上がっていますが、注目したいのは出店を重ねていた2018年から2019年にかけて検索数は下り坂であること。

もうすでに旬は過ぎていました。

◆やむなく「ペッパーランチ」を売却するも…

ペッパーフードサービスは2020年7月に114店舗の退店を決定します。更に2021年2月12日の取締役会で18店舗の追加閉店を決定しました。2022年末時点で129店舗の退店が完了し、残り3店舗の整理を進めています。

ペッパーフードサービスは2020年12月期に40億円近い巨額の純損失を計上しています。これは大量閉店に関連する減損損失や事業構造改善引当金が大部分を占めています。

この損失に耐えられるよう、祖業のペッパーランチを投資ファンドに売却しました。会社の成長を下支えした事業を売り払うという、激痛を伴う経営改革を行ったのです。それによって早期黒字化できる計画でした。

◆大規模な方向転換を迫られている

徹底的な不採算店を整理したペッパーフードサービス。しかし、思うように売上が戻りません。ペッパーフードサービスの予想と実績の差に目をやってみると、計画では2022年4Qの売上高を42億7000万円と見込んでいましたが、5億円近く少ないという結果になりました。

当初の目論見通り、カニバリズムが課題だったのであれば、退店で話は済みます。しかし、思うように客数が回復しないのであれば、客離れそのものを解決しなければなりません。

◆競合のブロンコビリーはなぜ黒字に?

業績回復のヒントになるのが、ステーキ・ハンバーグレストランのブロンコビリー。同社は2022年12月期に7億4600万円の営業利益を出しました。

この時期に助成金の影響もなく、黒字化を果たしているのは異例中の異例です。

2023年12月期の売上高は、コロナ前の2019年12月期を上回る予想を出しています。ブロンコビリーはターゲットをファミリー層に絞り、来店するきっかけ作りや客単価アップ、その他満足度を高める取り組みに余念がありません。

例えば、人気のサラダバーのメニュー改定回数を年5回から6回に増やし、来店するきっかけを作りました。主力のステーキやハンバーグにもう一品加えてもらうため、プチ贅沢スープというサイドメニューの開発にも邁進しています。

◆ステーキ屋でなぜ牡蠣を出すのか…

2022年7月には調味料を製造する会社を買収しています。これにより、料理の味を引き立たせるソースやドレッシングの質を保ち、店舗ごとのバラつきを抑えられるようになりました。

ブロンコビリーのこうした戦略は、ファミリー層というターゲットがあってこそのもの。いきなり!ステーキもメニュー開発に力を入れていますが、一時期は牡蠣を出したりと、正直言って迷走している印象を受けます。

2022年8月に創業者の一瀬邦夫氏が社長を退任し、息子の一瀬健作氏がかじ取りを任されました。就任して半年以上が経過しますが、真新しい方針や取り組みは見えてきません。

これまでのスタイルを一掃するタイミングが訪れているのではないでしょうか。

<TEXT/中小企業コンサルタント 不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

画像はイメージです

(出典 news.nicovideo.jp)

「いきなり!ステーキ」の大量閉店には驚きましたが、最近は健康志向の高まりや新型コロナウイルスの影響もあり、人々の食生活が変化していると感じます。こうした状況に合わせた新しいメニューやサービスを提供することが求められ、お店のリブランディングに取り組むことが必要だと思います。

<このニュースへのネットの反応>

ペッパーランチ あれだけの闇でも隠せば存続できるという実例作った 闇

外食する金が無い

この御時世でブロンコビリーが黒字なのにビックリだ

スーパーで同じ品質の肉が1/4以下の値段で売ってるんですよ?自分で焼いたほうが美味しいし、行く意味あります?

記事やコメントにも色々書かれてるが、まぁ、ここは、ほんとにいろいろやらかしが多くて話題に事欠かさなかったな。あれだけやらかしといて今なお残ってる事自体がある意味ですごいとは思うが。さすがに全方面に酷すぎたな。

父親がやってた事をそのまま引き継いでいたら回復は難しいだろうな。色々やらかしてマイナスイメージが強いし。

「いきなり」といいつつ現実は「いきがり」で、似た名前でもっと具合のいい「やっぱり」が本州への本格進出し始めたおかげでステーキには困っていないのよね。

別に安いわけでも、特別旨いわけでもない上、社長の言動もちょっとね

一度完全にたたんで出直すしか手段が無いような気がしますね ブランドイメージがマイナスになってるのが痛すぎる

「お金に余裕がある会社員であれば、抵抗はありません。」ってwww。1600円出すならラーメンとるわ。

不味い、高い、誰が金出して食うんだと

安全第一

当時はかなり通ってたけど、迷走時期を境に味が落ちたなと思って通ってなかった。ステーキガストなんかが競合になってたけど、ガストは全く俺には合わない方面に舵を切ってしまったから久しぶりに行ってみたけど質が落ちたと思ってた時期よりはマシになってたが値段があがっててうーんって感じ。

支えてたコアなファンを全員足蹴にした上に切ったからな。そりゃ回復*ぇよ。

社長が出店場所をいい加減に決めてたことにあの時止めてくれる人がいればなんて言い出すぐらいだし。

肉を注文より厚く切って利益上げてる話聞いて、行かなくなったな

‘’あれ‘’が社長だし残念でもなく当然

福袋ですら頭のおかしいことやってんだから経営陣が*だとしょうがないでしょ。

狂ったように通ってた常連を切り捨てたからなぁ…あの層が戻ってこないと復活無理だろ

美味しい店はいっぱいあるし、ここである必要がないってのが一番

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