「文春砲」を受けた黒岩知事が神奈川ならではの事情を乗り越え、圧勝した真相とは!?

「神奈川ならではの事情」が影響したのは確か。ここは自民党の地盤でもありますが、黒岩知事には温度感や信頼感を感じていたように思います。
4月9日、各地で統一地方選が投開票されました。統一地方選は大規模な選挙になるため、今春は前半戦が4月9日、後半戦が4月23日に投開票と2回に分けて実施されます。

神奈川県は、4月9日の前半戦に知事選が投開票されました。神奈川県知事選の選挙期間中に『週刊文春』が黒岩祐治候補の女性スキャンダルを報道。これに注目が集まりましたが、黒岩候補は知事選を圧勝しています。

女性スキャンダルが致命傷にならなかった理由は、何でしょうか? そこには神奈川県という地域の特異性も関係がありそうです。首相官邸・永田町取材歴15年のフリーランスライター・カメラマンの小川裕夫が神奈川県知事選について解説します。

◆選挙期間中のスキャンダル報道はレア

4月9日に投開票された神奈川県知事選は、4選を目指した現職の黒岩祐治候補が当選しました。選挙期間中、文春砲でお馴染みの『週刊文春』が黒岩候補の女性スキャンダルを報道。黒岩候補は発売日に記者会見を開き、報道を認めるとともに釈明に追われました。記者会見以降、黒岩候補は不特定多数の有権者と接する街頭演説を避けてリモート対話集会や選挙カーを走らせるだけの遊説に終始。

政治家が女性スキャンダルを週刊誌に報道されることは珍しくありませんが、それが選挙期間中に出回ることはレアケースといえます。女性スキャンダルによって黒岩候補のイメージ低下は避けられず、選挙情勢にも影響を及ぼす可能性が大きいからです。

◆結局、選挙戦からは撤退せず

候補者の金銭や異性関係のスキャンダルは、有権者が知りたいと思う判断材料のひとつです。本来なら、そうした情報は選挙期間中にこそ報道されるべきですが、それが一般化してしまうと、立候補者や関係者たちによるネガティブキャンペーン合戦になってしまう恐れもあります。

それは建設的な政策論争に結びつかないことから、これまで選挙期間中のスキャンダル報道は控えることが暗黙の了解になっていました。

女性スキャンダルにより、黒岩候補は大きな痛手を負いました。それでも、黒岩候補は選挙戦から撤退しませんでした。選挙を勝てるとの手応えを感じていたからでしょう。

◆政令指定都市が3市あるのは神奈川だけ

4月9日の投開票日、NHKは投票を締め切った20時と同時に黒岩候補の当確を打ちました。黒岩候補は神奈川県知事選を圧勝したことになり、スキャンダル報道後も選挙情勢に大きな変化は見られなかったことが窺えます。なぜでしょうか?

考えられる理由はいくつかありますが、神奈川県という地域性にも理由がありそうです。神奈川県の人口は約921万6000人ですが、そのうち横浜市が約376万5000人、川崎市が約153万8000人、相模原市が約72万4000人です。これら3市は政令指定都市であり、神奈川県と同等の権限を有しています。つまり、神奈川県知事と同じレベルの権限を有する市長が県内に3人いるのです。同一府県内に政令指定都市が3つあるのは神奈川県だけです。

そうした状況だけでも神奈川県知事の権限が限定的になってしまうわけですが、とりわけ横浜市は日本でもっとも人口が多い基礎自治体です。そのため、横浜市長の存在感・影響力は神奈川県知事と比肩します。

◆神奈川県よりも横浜市の方が格上?

また、横浜市は神奈川県内の一自治体ですが、職員や議員、市民の間に神奈川県の下部組織という意識はありません。それを体現しているのが、市議会の名称です。

地方自治法は、市に置かれる地方議会は「市議会」という名称に定めています。地方自治法上では横浜市議会という名称ですが、横浜市には慣例的に「市会」と呼ぶ習わしが隠然と残っています。

こうしたところからも分かるように、歴史的にも神奈川県よりも横浜市の方が格上という風潮があるのです。そのため、横浜市長選は毎回のように多彩な立候補者が揃い、盛り上がりを見せます。

◆参議院議員を辞職してまで立候補

直近の2021年に実施された横浜市長選を見てみましょう。現職を含む8名が立候補。その中には衆参の国会議員経験者が複数人いました。なかでも目を引いたのが、神奈川県知事を務めた松沢成文候補です。

松沢候補は神奈川県知事を退任した後、参議院議員に転身。その参議院議員を辞職してまで、横浜市長選に挑んだのです。松沢候補が取った行動からも、横浜市長が魅力的であることが窺えます。

なぜ横浜市長という職は魅力的なのでしょうか? 先述したように、横浜市の人口・経済規模が大きい点や横浜市が政令指定都市という県と同等の権限を有する自治体であることが主な理由ですが、時代の流れも大きく作用しています。

◆徐々に「国と地方が対等な関係」に

2000年に施行された地方分権一括法は数次の段階を経て、国から広域自治体(都道府県)へ、そして広域自治体から基礎自治体(市町村および特別区)へと権限を移管してきました。

権限の移譲だけではなく、地方分権一括法は国と地方の立場を大きく変えた法律でもあります。それまで国と地方は上下関係のような位置付けにありました。言うならば、地方分権一括法以前の地方自治体は国の出先機関のような役割を強いられていたのです。

地方分権一括法によって国と地方が対等な関係になったことにより、人口や財政規模が大きく、裁量が大きな横浜市長というポジションが魅力的になりました。

◆埋もれてしまう国会議員よりも…

そして、歳月が経過するとともに国会議員の意識も大きく変化していきます。国会議員は数多くいるうちの一人に過ぎません。衆議院議員は定数が465人ですから、国会議員一人が及ぼすことができる影響力は465分の一です。同様に参議院議員は248分の一です。

一方、知事や市長は一人しかいません。言うならば、横浜市長は横浜市という枠内なら国会議員を凌ぐ大きな存在感と権限を発揮できる政治家なのです。

永田町を取材していると、ワンオブゼムで埋もれてしまう国会議員よりも自分の理念が強く反映できる知事や政令指定都市の市長になりたいと考えるようになった議員が増えていることに気づかされます。

◆横浜市長選のほうが激戦に

先述したように神奈川県には3つの政令指定都市があります。横浜市ほどではないにしても、川崎市も相模原市も人口・財政規模ともに大きく、政令指定都市であるがゆえに神奈川県知事の権限が及ぼせる影響力は限定的です。相模原市も同様です。神奈川県知事が強大な権限と財源を有することは揺るぎませんが、こうした事情から、神奈川県知事よりも横浜市長を目指す候補者が増えました。

その結果、横浜市長選に人が流れるようになりました。近年の横浜市長選へ激戦と化し、逆に神奈川県知事選は激戦になりにくくなっています。

逆説的になりますが、黒岩候補がスキャンダルの影響を受けずに圧勝できたのは、そうした事情に助けられた面があることは否めません。

また、国政と比べて地方選は有権者の関心が低い傾向にあることも一因として考えられます。統一地方選は地域ごとの課題が異なることもあり、有権者は出身地・居住地・勤務地といった自分と関係ある自治体以外の動向に関心が向きません。

◆身近な政治を軽視してはいけない

衆議院選や参議院選と比較しても、関心が薄く、投票率は低調になりがちです。投票率が低くなると、政治家は有権者の方に顔を向けなくなるという問題が起こります。

それは、政治によって私たちの暮らしがよくならないことを意味します。「政治に無関心で生きることはできても、政治と無関係で生きる」ことはできません。誰もが、少なからず政治に影響を受けながら生きているのです。そのためにも、政治に強い関心を持つことは重要です。

そして、私たちの暮らしにもっとも身近な政治が、基礎自治体が取り組んでいる施策といえます。それだけに、市区町村長選や市区町村議会選挙を軽視してはならないのです。

<文・撮影/小川裕夫>

【小川裕夫】
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

選挙中に『週刊文春』が黒岩候補の女性スキャンダルを報道。しかし、情勢に大きな変化は見られなかった

(出典 news.nicovideo.jp)

スペアタイム スペアタイム

単に他の対抗馬がダメすぎただけでしょ。

ゲスト ゲスト

対抗馬が弱すぎたのと選挙を狙って報道したんだろうなっていう文春の魂胆が気に食わなかったのと理由は諸々。

ないとろ ないとろ

他のがヤバすぎた(神奈川県民)

梅の字 梅の字

文春砲ごときで共産党の息がかかった奴を知事にしようとか甘いんだよ。選挙にできる事は当選させたい候補を選ぶだけではない。当選させてはならない奴を止める事もその役割なのだ。

UE UE

所詮ゴシップ誌だし、芸能人相手ならともかくお前らが妄信している程世間的には力も影響力もないと言うだけでわ?

もっぷ もっぷ

これ撤退を狙って出したんなら怖いね。テロと変わらん。

名無しさん 名無しさん

つまりマスコミにとって不都合な人間が選ばれたのか。なら正解って事じゃんw

つぐつぐ つぐつぐ

対立候補の問題(以下略)

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