宮内庁が「情報統制のプロ」を招いた真意とは?「皇室ゴシップ」に対する厳しい態度が浮き彫りに

宮内庁が情報統制のプロを招いたことで、今後はどのような配慮がされるか気になる。

■「虚偽の情報による誹謗中傷を減らしていきたい狙い」

秋篠宮が週刊誌メディアに挑戦状をたたきつけた⁉

4月1日、そう思われるような人事が宮内庁から発表された。

警察庁長官官房付の藤原麻衣子氏(44)が、宮内庁に今回新設された「広報室長」に就任したのである。

朝日新聞デジタル(4月1日 0時00分)は、「積極的な発信により、虚偽の情報による誹謗(ひぼう)中傷を減らしていきたい狙いもある」と報じた。

発表に先立って、週刊女性(4月11日号)と週刊新潮(4月6日号、以下新潮)がいち早くこのことを報じ、この人事に両誌とも「なぜ?」だと疑問を投げかけている。

週刊女性は、今から4年前の2019年3月22日、秋篠宮佳子さんが国際基督教大学を卒業する際に発表した文書で、

「姉の件に限らず、以前から私が感じていたことですが、メディア等の情報を受け止める際に、情報の信頼性や情報発信の意図などをよく考えることが大切だと思っています」と、メディア、特に週刊誌やワイドショー報道への疑問を口にして以来、メディアをよく思っていないことは、宮内庁では暗黙の了解事項となっていると報じている。

皇族自らがメディアに対して苦言を呈するというのはほとんどないので、この発言は大きな話題になった。

その後、2021年10月26日の秋篠宮眞子さんと小室圭さんの結婚会見でも、眞子さんが、「誤った情報がなぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていくことに恐怖心を覚えるとともに、つらく、悲しい思いをいたしました」と発言。

■小室圭さん、秋篠宮さまも…

それを受けて小室圭さんも、「この数年間、誤った情報があたかも事実であるように扱われ、誹謗中傷が続いたことにより、眞子さんが心身に不調をきたしたことを、とても悲しく思います。私の母も心身に不調をきたし、仕事を辞めざるを得ない事態にまで追い込まれましたし、身の危険を感じながら過ごしています」と、誹謗中傷報道への批判を口にした。

そうした流れが、2021年11月30日の秋篠宮の誕生日会見の発言へとつながっていくのである。秋篠宮の発言を東京新聞Web(2021年11月30日 00時00分)から引用する。

「いろいろな報道がなされて中にはバッシングと取れるものもあります。(中略)一方で先ほども少し近いお話をしましたけども、記事の中にはもちろん創作もあれば正確なことを書いていること両方混ざっているわけですね。一つを採り上げてそれは違うと言うこと、もちろん言うことはできますけれども、そうしたらやっぱり、ここも違うし、これは正確だしというのを全部説明していかないと本当はいけないのではないかなと思うのですね。ただ、それは大変な労力を費やすと思います」

■佳子さまは「一瞥もなさらず、空気のように扱われて」…

「一方でもし、そういう今言われたような関係の記事に対して反論を出す場合にはですね、何かやはり一定のきちんとした基準を設けてその基準は考えなければいけないわけですけれども、それを超えたときには例えば反論をする、出すとかですね。何かそういう基準作りをしていく必要が私はあると思います」

こうした秋篠宮家の人たちの発言を受けて宮内庁は、これまでは総務課が担っていた広報業務を独立させて広報室をつくる方針を発表し、予算も組んだのである。

最初、広報室の役割はこのようになると思われていた。

「皇室の情報を正確かつタイムリーに発信すべく、ホームページのリニューアルやSNS活用を視野に入れた広報展開が検討されています」(皇室ジャーナリスト、週刊女性4月11日号)

昨年の誕生日会見で秋篠宮は、「皇室報道に反論するための“基準づくり”は難しい」と、後退したような印象を与えていた。だが、一度走り出した広報室づくりは止まらなかった。

その上、秋篠宮佳子さんのメディアに対する嫌悪感はますます強くなっていると、週刊女性で皇室担当記者が話している。

「出席される行事の関係者や参加者に対しては、笑顔を振りまかれていますが、報道陣に対しては打って変わったご対応なのです。両陛下やほかの皇族方は、マスコミの前を横切る際などに、目配せや軽い会釈などをしてくださることが多いのですが、佳子さまは一瞥もなさらず、空気のように扱われてしまいます」

■メディアに対する“嫌悪感”は相当なものがある

週刊誌やワイドショーだけではなく、宮内庁記者クラブに対しても佳子さんは厳しい態度で臨んでいるというのである。

家を離れた眞子さんを含めて、秋篠宮家の人々のメディアに対する“嫌悪感”は相当なものがあるに違いない。

そんな中で、今回発表された広報室人事は、週刊誌などメディアの背筋をゾクッとさせたことは想像に難(かた)くない。

新潮はこの人事をこう報じている。

「秋篠宮さまが熱望された新部署のトップに就くのは、意外にも強面の外事公安警察幹部。開かれた皇室の理念存続を危ぶむ声も聞こえてくるのだ」

霞が関の事情に詳しい関係者はこう話す。

「異動するのは、警察庁警備局の外事情報部で経済安全保障室長を務めていた藤原麻衣子氏。政府が力を入れている経済安保の最前線で、先端技術が企業や研究機関から中国などのスパイへと流出するのを防ぐエキスパートです」

新潮によると、藤原氏は京大法学部を卒業後、警察庁に採用されて外国の捜査機関との連携や北海道洞爺湖サミットの実務で頭角を現した外事警察のエースだという。

まったく畑違い、異例の人事のようである。

宮内庁関係者も「この人事には首を傾げてしまいます」と語っている。

ではその意図はどこにあるのか。

■メディアへの情報漏洩者を洗い出し、統制していくため?

「広報よりもむしろ情報管理のプロであることは間違いないと思います。週刊誌を舞台にした皇室報道やSNS上で秋篠宮さまや眞子さんに異議を唱える投稿などに対して、今後は毅然(きぜん)とした対応をとる。いわば秋篠宮さまのご意向を受け、睨みを利かせるという姿勢を感じます」(宮内庁関係者)

元警視総監で現宮内庁長官である西村泰彦氏は、3月23日の定例記者会見で、「あまり深く考えていなかったですが」と前置きして、皇室に対する国民の親近感を醸成するため、宮内庁として何ができるか考えていかないといけないと述べるにとどまったという。

だが、国民に親近感を持ってもらうためなら、今回の人事は逆方向を向いていると思わざるを得ない。スパイを取り締まる強面の人間に対して、いきなり親近感を持ってくれというのは無理がある。

SNSを活用したり、皇室の人たちの動向をいち早く国民に知らせたりする広報活動なら、警察庁の外事課のエリートをわざわざ持ってくる必要はないのではないか。

これから、秋篠宮佳子さん、天皇の長女・愛子さんの結婚も控えている。秋篠宮の長男・悠仁さんの進学問題もある。

そうしたことに備えて、内部にいるメディアへの情報漏洩者を洗い出し、情報を統制していくために、その道のエキスパートを異動させたのではないのかと勘繰りたくもなる。

週刊誌メディアの“警戒感”は相当強いものがある。

女性自身(Web版4月4日6:00)は、宮内庁関係者のこんな声を伝えている。

■「戦前のような『閉ざされた皇室』となりかねません」

「藤原さんは“情報統制”といったセキュリティやリスクマネジメントの専門家であって、皇族の方々に対して国民が抱く親近感を高める広報の専門家ではないことに、早くも心配する声が聞こえてくるのです」

皇室担当記者も、

「広報室の体制も発表されたのですが、特に『渉外専門官』というポストが設けられることに波紋が広がっています。その仕事は“皇室の名誉を損なう不適切な出版物などへの対応を想定する”とされているため、“今後は批判を許さないということなのか”と疑問を持たざるをえません」

皇室制度の歴史に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次氏もこう警鐘を鳴らしている。

「情報収集や“監視”に力を入れている部署を率いた警察官僚が広報室のトップになることで、皇室の“正しい情報発信”というより、国民の皇室に対する意識の把握や“メディアに睨みを利かせる”部署であるという印象が強まってしまう懸念があります。(中略)

広報室が警察的な仕事をする組織になってしまえば、皇室に対する国民の敬愛の念は委縮し、『開かれた皇室』という理想は崩れ、戦前のような『閉ざされた皇室』となりかねません。戦後の皇室が長い年月をかけて育ててきた国民との信頼関係を崩しかねない危うさを、この人事ははらんでいると思います」

■行きすぎた報道があったことは間違いないが…

女性自身も、「国民が求めるような情報発信よりも、“ネガティブな意見や声”をおさえることを重視するのであれば、皇室が積み重ねてきた国民からの信頼を無に帰してしまいかねない」と危惧している。

秋篠宮眞子さんの結婚問題で、小室圭さんと母親の佳代さんや、小室家のプライバシーを暴き立てる報道に行きすぎがあったことは間違いない。

秋篠宮や紀子さん、長男の悠仁さんに対するバッシング報道にも問題があったことは事実であろう。

だが、そうした報道を抑えつけるために、広報とは名ばかりの「言論規制」する部署をつくるのだとすれば、秋篠宮と宮内庁は大きな間違いを犯すことになると思う。

これまで国民が知ることがなかった皇室の人たちの素顔や仕事ぶりを、広く国民に知ってもらうために、英国王室のようにSNSなども駆使して情報発信していくのが、新設される広報室の役割ではなかったのか。

藤原室長が柔和な顔で、「国民の皆さまのための広報室を目指します」といっても、彼女の経歴を見れば、多くの国民は、その言葉を素直に受け入れることはできないのではないか。

もし、秋篠宮がこの人事に何らかの関与をしていたとすれば、残念に思うのは私だけではないだろう。

■かつて、皇室とメディアはもっと近かったはず

以前にも紹介したが、戦後の一時期、皇室とメディアの幸せな時代があった。『週刊新潮が報じたスキャンダル戦後史』(新潮文庫)には、「殿下、ズボンが太すぎます」(1960年9月5日号)という記事がある。

ここで出てくる皇太子は現在の上皇である。いつ見ても皇太子のズボンがダブダブでみっともない、若いのにハツラツと仕事をしているように見えないと批判しているのだが、その新潮に対して山田東宮侍従長がインタビューに答えているのである。このやりとりが実に面白い。

1974年9月26日号では、「三笠宮殿下がデートしている『変な赤坂芸者』」という記事もある。

1982年9月3日号では、皇太子妃美智子さん(当時)の父親、正田英三郎氏(当時79歳)がインタビューに答えて、こう語っているのだ。

「私ども、もうさんざん、ご辞退申し上げたんですよ。それが最後は、ホラ、当人同士が電話で話して、決めちゃったわけ。しょうがないよねえ。もしも、あの時、娘が皇太子妃になっていなかったら……。いまさらいったって始まらないから、考えたこともありませんがね」

現上皇と美智子上皇后が開いてきた皇室の重い扉が、再び閉じられようとしているのではないか。

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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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2023年1月2日、新年一般参賀で、長和殿ベランダに立ち、参賀者に手を振って応える(左から)上皇后美智子さま、上皇さま、天皇陛下、皇后さま、愛子さま - 写真=EPA/時事通信フォト

(出典 news.nicovideo.jp)

niko2 niko2

自分たちの力で生きていく等と発言を捏造したり 存在自体疑わしい御学友の親御さんの陰口で記事書かれたり ストーキングに盗撮 謎の関係者や記者による気持ちの勝手な代弁と 更にそれらを裏も取らずにロンダリングする記者 マスコミが延々とそういう事をしてきたことを元木君はどう思う?

ゲスト ゲスト

宮内庁も大概な気がする

RT RT

メディア正当化する論調に他人のソースだらけの記事、案の定元木か。誹謗中傷不敬世論誘導のオンパレードな誌面なんて閉め出されて当然。筋違いかつ不敬な妄想語る前に己とメディアの不健全さを少しは反省してくんないかな

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