「カンニングは卑怯者がすることだ」子供の成長を阻害する叱り方は絶対にしてはいけない。
子供が過ちを犯したときには、どう応じればいいのか。中学受験専門塾・伸学会代表の菊池洋匡さんは「子供を叱るときは行動に焦点を当ててほしい。たとえば『カンニングは卑怯者がすることだ』という叱り方は、人格否定になるのでよくない」という――。

■遺書には「卑怯者と思われるのが怖くなった」

中高一貫の私立男子校「清風高校」(大阪市天王寺区)の生徒(当時17歳)が、期末試験でのカンニング後に自殺をしたのは、教師の行き過ぎた指導が原因として、今年4月、両親が約1億円の賠償を大阪地裁に提訴しました。

報道などによると、生徒は2021年12月、期末試験でのカンニングを試験監督から指摘されました。その後、教師から「カンニングは卑怯者がすることだ」と叱責され、「全科目0点」「自宅謹慎8日」「写経80巻」「反省文作成」などの処分を受けました。そして2日後、自宅近くで命を絶ったのです。

遺族は、清風高校では日ごろから「カンニングは卑怯者のすることだ」と指導しており、今回もカンニングが見つかった後に、教師が生徒に「自分は卑怯者だ」と言わせたと主張しています。

生徒の遺書には「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってきました」と記されていたそうです。

このような指導が法的に違法なのか、自殺との間に因果関係があるのか、といった論点は、本稿では扱いません。そうではなく、教育の手段として、こうした指導のあり方を考察したいと思います。

■「人格否定」はやってはいけない叱り方の典型

人間は必ず過ちを犯します。子どもであればなおさらです。何度も同じ過ちを繰り返さないように、子どもを叱るのは必要なことです。

ただし、その際には正しい叱り方をすることが大切です。なぜなら、間違った叱り方をすれば、子どもの心を傷つけ、余計に問題行動が増えてしまったり、無気力になってしまったりするからです。なかには、深く傷ついた結果、今回のように自殺をしてしまう子が出てきてもおかしくはありません。

そして、そうした間違った叱り方の典型の1つが、今回の指導にあったような「卑怯者」というレッテルを貼る人格否定です。

人格を否定する叱り方をすると、子どもの自己肯定感が低下するおそれがあります。その結果、「どうせ自分は卑怯者なんだ」というセルフイメージを持つようになり、そのセルフイメージに沿って「卑怯者にふさわしい行動」を選択するようになっていきます。つまり、問題行動をかえって増やすことに繋がってしまうというわけです。

同時に自分の人格を否定した親や指導者への強い不信感を抱くようになり、人格を否定する親や指導者に対して反抗するようになっていってしまいます。子どもを良い行動に導いていくうえで、人格否定は絶対にやってはいけない叱り方なのです。

人格を否定する言葉には、ほかにも「意地悪な子だ」「落ち着きがない子だ」「不注意な子だ」などさまざまあります。こうした言葉は、子供の成長を妨げてしてしまい、発揮できるはずだった能力を潰してしまう危険性があります。わかりやすい基準として、性格や能力など一朝一夕では変えられないものに焦点を当てると人格否定になりやすいということを理解しておくといいでしょう。

■「行動」に着目した叱り方をするべき

では、どういう叱り方をすれば良いのでしょうか?

それは、人格ではなく、行動に焦点を当てた言い方にすれば良いのです。

「カンニングをするやつは卑怯者だ」は人格に焦点を当てた言い方です。それに対して、「カンニングは卑怯な行いだ」は行動に焦点を当てた言い方です。この2つは似て非なるもので、言われた側の受け取り方は大きく変わります。

子どもが悪い行動をしたときにまず伝えたいのは、「どんな時でもあなたは素晴らしい子である」ということです。子どもの人格や存在そのものをまずは丸ごと肯定してあげましょう。その上で、「どんな素晴らしい人でも、悪い行動をしてしまうことはある。悪い行動は変えていかなければいけない」と、伝えましょう。人格は肯定し、悪い行動を否定する。

これが子どもを叱るうえでの基本的な態度です。

■追い込まれているから、間違いを犯してしまう

もう一歩話を進めて、より良い叱り方をするための大事なポイントについてお話しします。

それは、なぜ子どもが大人から見ると悪い事だと見える行動をしてしまったのか、その背景に目を向けることです。仮に相手が小さな子どもであったとしても、その子の行動の裏には何かしらその子なりの考えがあります。なぜそういう考えに至ったのか、それを理解して変えていかなければ本当の解決にはなりません。

叱るというのは、相手の中に行動の判断基準を育てていくことです。小さな子であれば、悪気なく悪い行動をしてしまっている場合がたくさんあります。そういう場合には、理由を説明して良い行動と悪い行動の違いを教えてあげることが必要です。

では、今回の件における男子生徒の場合はどうだったのでしょうか? 判断基準を持っていなかった、つまりカンニングが悪い事だと知らなかったのでしょうか?

そうではないはずですね。常日頃から「カンニングをするやつは卑怯者だ」と指導されてきたのですから。

この生徒は、カンニングは悪い事だと知りながらやってしまった。それはつまり「ほかに方法が無い状況に追い込まれていた」のではないか、と考えてみるべきです。大きなストレスにさらされていたのではないか。学校や家庭から「良い成績を取らなければいけない」と過剰なプレッシャーをかけられる状況に置かれていなかったか。

そうした背景について考え、悪い事だと知りながらそれをせざるを得なかった生徒の気持ちに寄り添い、他のもっと良い行動を選択できるように支援をすることが、より良い教育の在り方だったのではないかと思います。

■宿題の答えを写すことをやめられなかった生徒

実際に私の教え子のなかでも、かつて、環境に追い込まれて不正行為をした子がいました。宿題で答えを写していたのです。その子は小4の途中で私の塾に転塾してきた子でした。転塾のきっかけが、正にその不正行為だったのです。

その子は卑怯者などではありませんでした。怠け者でもありませんでした。とても素直で勤勉な子でした。なぜそんな子が宿題で答えを写したのか?

実は、それ以前に通っていた塾で宿題を提出した際に、間違いが多いと講師から怒られたそうです。その子は自力で全問正解することはできませんでした。怒られないためには、悪い事だと知りながら、答えを写すしかなかったのです。

先生に答えを写したことがバレてこっぴどく叱られ、もう二度としないと約束をさせられました。しかし、間違いが多いと怒られる状況は変わりませんでした。そして、自力で正解できるようになるための支援もありませんでした。結果として、その子は追い込まれ、再び答えを写すことをしました。

そして、またそれが先生にバレて、親御さんに連絡が行きました。状況を把握した親御さんは、「ここにいても子どもの成長は無い」と判断し、その塾をやめて私の塾に来たそうです。

■学習環境を変えれば成績は伸びていく

素直で真面目な子だったので、間違えたときにはテキストを読んだり模範解答の解説を読んだりして理解し、もう一度解き直して確認をするという勉強の手順を教えたところ、そのことをしっかりと実践してくれました。もちろん、私も生徒が問題を間違えたからといって怒ったりはしません。こうした指導方法の影響もあってか、その生徒は成績がぐんぐん伸びていきました。

悪い行動を否定するだけでは、行動を改善できない場合が多いです。さらにいえば、悪い事だと知りながらやってしまった場合には、なおさら改善できない可能性は高いです。そうした場合には、悪い行動をせざるを得なかった環境を変えたり、良い行動をするための支援をしたりすることも必要です。

そうした部分まで含めて、子どもを良い行動に導くための子育ての在り方や、指導の在り方を考えていけると良いのではないでしょうか。

一般的に言って、子どもを叱らなければいけない場面は、子育てにおいて嫌な瞬間なのではないかと思います。ですが、子どもが間違った行動をしたときの適切な対処法を理解して実践すれば、良好な親子関係を維持しながら子どもの成長を後押しすることができます。

正しいアプローチを身に付けて、叱る場面をポジティブな成長の機会に変えていくことが重要です。

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菊池 洋匡(きくち・ひろただ)
中学受験「伸学会」代表
開成中学校・高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。10年間の塾講師歴を経て、2014年に中学受験専門塾「伸学会」を自由が丘に開校し、現在は目黒・中野を合わせて3教室に加え、オンライン指導も展開。指導理念と指導法はメルマガ(登録者約8000人)とYouTube(登録者約46000人)でも配信。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)、『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)、『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)などがある。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

(出典 news.nicovideo.jp)

この記事は、子どもたちが間違いを犯した際の叱り方の重要性とその影響について、深い洞察を提供しています。特に、「行動」に焦点を当て、人格を否定するような言葉遣いを避けることの大切さが強調されています。こうしたアプローチは、子どもたちが自己尊重感を保ちつつ、過ちから学び成長できるように支援するために非常に重要です。

記事が取り上げた、ある生徒の悲しい出来事は、教育者や親がどのようにして子どもたちを導くべきかということについて、深く考えさせられます。人格を否定するような指導方法は、子どもたちの自己イメージや将来に対する展望を深刻に損なう可能性があります。この事例は、教育における責任の重さと、言葉一つ一つが子どもたちの心に及ぼす影響の大きさを教えてくれます。

さらに、子どもが問題行動に及ぶ背後にある理由や環境を理解し、適切な支援を行うことの重要性も示しています。子どもたちが何らかの問題行動に走るのは、しばしば彼らが直面している困難やストレスに起因するものです。この点を踏まえると、問題の根本的な原因を理解し、子どもたちがより良い選択をするためのサポートを提供することが、彼らの成長と発達にとって最も効果的な方法であると言えます。

この記事から得られる最も重要なメッセージは、子どもたちを導く過程で発する言葉の重みと、彼らに対するアプローチの重要性です。子どもたちが犯した過ちを人格ではなく、あくまで行動として捉え、それを改善するための機会として扱うことが、健全な成長と発達を促す鍵となります。このようなポジティブなアプローチは、子どもたちが自分自身をよりよく理解し、自己肯定感を高めることを助けると同時に、困難に直面した際に建設的な方法で対処する力を育てることにもつながります。

<このニュースへのネットの反応>

※カンニングは卑怯者か犯罪者か弱者か無能のすることです

>生徒の遺書には「*という恐怖よりも、このまま周りから卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってきました」と記されていたそうです。     カンニングする前に「カンニングは卑怯者がすることだ」と気づかなかったのかな?

そもそも卑怯者だしペナルティがないとまたやるでしょ。コタツから好き放題言ってるパヨオンもだが。

マスゴミプレオンからこんな記事出すなんてギャグのつもりかな?

いや卑怯だろ。何言ってんだ? コイツ。言い方変えればいいってもんじゃねぇだろ。いい加減、売春を援助交際やパパ活と言い変えて誤魔化すような風潮止めろや。

学校ではカンニングしてから卑怯者と指導したわけじゃなくて常日頃からカンニングするのは卑怯者だと教育していたらしいじゃん。それなのに教師の言うことを聞かず学習しなかった方が悪いだろ。しかもカンニングした理由が試験範囲間違えて勉強したからとか擁護のしようがないぞ

カンニングって隣とかの見るやつだろ?よほど視力がよくないと無理じゃね?てか今のカンニングはスマホだろ?、昔はテスト問題自体が流失(教員の手によって売買されてた)だったもんな■どこのエスカレーター学校だったか*に合わせたテスト問題(個別問題)で0点でも問題自体変えて70~100点にしてるよね(解答用紙にマークシート式な)、自称芸能学校もそうだけどwww

この高校生は「この学校ではカンニングをしたらどういう扱いを受けるか」ってことをちゃんと分かった上で、やっちゃってるからなあ....。それから、学校と塾は別物、教師と塾講も別物。

いや悪いだろ

「カンニングは卑怯者がすることだ」これは正論ですね。こういう正論を人格否定と言葉を換えて批判するプレオン。

タイミング、

なるほど、罪悪感をなくして犯罪者予備軍を大量生産しましょうということですね反吐が出る。

田中太郎みたいに「カンニングしたら…イカンニング」と言えとでも?何が叱らない教育だよ阿保らしい

普通に卑怯者。こうしたちょっとしたことからエスカレートしていって犯罪に手を染めるようになっていくものだ。犯罪者予備軍が社会に出る前に間引かれたとしか思わない。

なんかこう、叱り方で免罪符欲しい感がスゲーよな。しっかり子供と向き合って信頼関係を築き、いいところ褒めて貯金を作ろう。

え?カンニングは卑怯者がする事で何の間違いも無いんだが?いったいこれのどこが人格否定なんだよプレオンは相変わらず*の戯言しか記事に*ぇな。

親が子を叱るときに卑怯者という言葉は使うなっていうならまだわかる。でも教師が言う分にはいいだろ。先生はお前のママじゃねえんだよ。

これ、そもそも叱った訳じゃなくて忠告してたんだろ。その忠告無視してカンニングして勝手に自*た奴をどうしてそこまで擁護できるのか。

間違ってるのは教育方針じゃなくてついていけなかった場合のケアの方なんだよ。それなのに混ぜて全部NGにしてるからややこしいことになる。不正を行ってバレて不正者のレッテルを貼られるのは嫌だから〇にますって言われたら「*ほど嫌なのに何でやったんやお前…」としかならんやろ。

>写経80巻 そっち系だとなんとなく察せてしまうなあ。別にそういうのが全て悪いとは言わんし、どちらにしても賠償はとればいいけど、子供をそういうところに放り込むならある程度の厳しさは覚悟しとけよ。

「カンニングは卑怯な行いだ」は行動に焦点を当てた言い方ですと書いているけれど、そうやって卑怯な行いだと言ったとしても卑怯な奴と思われたくないと自*たかもしれない 結局この人の論理は結果論で、結果ありきの結論だと自分は思う

卑怯な行いをしたのなら卑怯者では?どちらにしろ周りに「カンニングした奴」とは認識されるのでそれで自*た可能性もなくはない。

カンニングという不正行為をするから『卑怯者』と言われるんだろうが。

*じまったらもうカンニングも出来ないじゃないか 清風は再発防止も含めて明瞭な改善策を取らないとただでさえ少子化なのにもっと減るぞ入学者

不謹慎を承知で言わせてもらうなら、この程度の豆腐メンタルでは生きていても将来社会に出たときに自〇するか引き籠りになるかの二択だったろう。

でも卑怯なのは事実だよな

マスゴミも卑怯者の集まりだし、卑怯を擁護したいんだろう。

卑怯者は卑怯者なんだと正しく伝えてあげないと子供が困るでしょう。

なぜ法を破る阿呆の教育にまで配慮せんとならんのだろう。ミスじゃなくて悪意のある行為を間違えで済ませるから更生しないのだろう。

カンニングは卑怯者がする事だ!とカンニングする前に教えないのがいけないんだよ。やっても仕方ないとか*じゃねーの?カンニングされた被害者側の気持ちを一切考えないで、加害者ばかり守ろうとするお前らゴミが世の中をダメにするんだよ

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