【画像】iPhone単体でクレジットカード決済ができるようになるイメージ図
小売店においてクレジットカード等の非接触型決済を行う場合はレジやカードスキャナといった外部端末を自前で用意する必要があり、小規模事業者の中では初期費用やリース代金が導入負担となっていた。しかし、今回アップルが日本向けの展開を発表した「Tap to Pay on iPhone」では、iPhoneに搭載されたカード読み取り機能を活用することで、外部端末は一切不要に。「iPhone XS」以降の本体と最新のiOSの利用を条件に、単体で一連の支払い処理が行えるという。
この機能は2022年に北米地域で発表され、中華圏では台湾が、欧州圏ではイギリス、オランダ、フランスと国際展開が進められていた。なお、本発表により決済手段が新たに加わることになるが、実際に機能を利用するには別途、金融サービス各社が提供するアプリケーションを使用する必要がある。執筆時点ではGMOフィナンシャルゲート「stera tap」、リクルート「Airペイタッチ」、Square「Square POSレジ」の3アプリ。
なかでも「stera tap」アプリではこの発表と同日に提供に関する具体的な内容も発表しており、クレジットカード決済による決済手数料は2.70%で提供することも明かした。この取り組みについて、小規模事業者の間での利用拡大が見込まれるほか、SNS上ではイラストや楽曲などを制作するコンテンツクリエイターからも注目する声が複数見受けられた。
特に、コミックマーケットといった同人誌即売イベントでの活用に期待が寄せられている。理由としては、一回のイベント出展が1~2日程度と極めて短期間であること、そして売上額も多くが小規模であること、そして出展スペースが非常に限られることなどが挙げられていた。実機レジの稼働が不要になることで、今よりも手軽に、気軽に即売会での取引が可能になることに熱視線が注がれている。
ちなみに、即売イベントでの個人間利用に特化したサービスの提供事例は過去にピクシブ社が行っており、アプリ「Pixiv Pay」上でのQR決済を推進しようと試みたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりイベント開催が激減した2020年に運営を終了していた。
小規模事業者への恩恵
この新機能は、小規模事業者や個人クリエイターにとって非常に大きな恩恵となるでしょう。これまでは、クレジットカード決済を導入するために外部端末やレジシステムが必要であり、それに伴う初期費用やリース代金が大きな負担となっていました。しかし、「Tap to Pay on iPhone」を利用することで、iPhoneだけで決済が完了するため、初期費用を大幅に削減できる点が魅力です。これにより、小規模店舗や個人事業者がより手軽にキャッシュレス決済を導入できるようになります。
決済手数料とアプリの利用
GMOフィナンシャルゲートの「stera tap」アプリが発表と同日に提供され、クレジットカード決済手数料が2.70%と明示されています。このような具体的な提供内容が早期に公開されることで、事業者が導入を検討しやすくなる点も好評です。また、リクルートの「Airペイタッチ」やSquareの「Square POSレジ」といった複数のアプリケーションが利用可能であるため、事業者は自分に最適なサービスを選ぶことができます。
コンテンツクリエイターと即売会への影響
コミックマーケットなどの同人誌即売会での利用が特に注目されています。即売会は短期間かつスペースが限られているため、実機レジの設置が難しい場合が多いです。iPhone単体で決済が完了するこの機能は、クリエイターにとって手軽で迅速な取引を可能にし、イベント運営を大いに効率化するでしょう。これにより、クリエイターがより多くの取引を円滑に行うことができ、売上の向上にも寄与することが期待されます。
個人間決済と過去の事例
以前、ピクシブ社が提供していた「Pixiv Pay」は、新型コロナウイルスの影響でイベント開催が減少し、サービスが終了しました。しかし、今回のアップルの取り組みは、より広範な普及が見込まれ、イベントが再開される中での需要増加に対応できる可能性があります。個人間決済の需要が高まる中で、この機能がどのように進化し、普及していくか注目されます。
結論
「iPhoneのタッチ決済（Tap to Pay on iPhone）」は、小規模事業者やコンテンツクリエイターにとって非常に有益なツールとなることが予想されます。コスト削減や利便性向上を通じて、キャッシュレス決済の普及を加速させるこの新機能は、ビジネスの現場において大きな影響を与えるでしょう。今後の展開と普及状況に注目していきたいです。
