2022年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。キャリア部門の第2位は――。(初公開日:2022年10月10日)
「モデル」と聞いて、どんな体型の人をイメージするだろうか。身長は163cm、体重80kgで、アメリカでモデルとして活躍する藤井美穂さんは「大学卒業後に渡米することで、モデルとして活躍する道が開けた。古い美の価値観にとらわれている日本にいたら、いまの自分はいなかっただろう」という――。

※本稿は、藤井美穂『今のままでゆるぎない自信を手に入れる LAでプラスサイズモデルになった私の人生逆転法』(大和書房)の一部を再編集したものです。

■世界で広がるプラスサイズモデルの活躍

「モデル」と聞くと、背が高くて華奢な人をイメージする方が多いかもしれません。

しかし欧米では6~7年ほど前から、どんな体型でも美しいと捉える考え方「ボディポジティブ」という考え方が広まるにつれて「プラスサイズモデル」の活躍が目立つようになってきました。

プラスサイズモデルとはその名から想像できる通り、大きなサイズの服を着こなすモデルのことです。グラマラスな体型、カーヴィー(curvy/曲線美)なボディラインをしたモデルというと伝わりやすいでしょうか。モデル業界における平均的な体重、身長よりも大きいモデルが多いです。

私自身は俳優ですが、ロサンゼルスでプラスサイズモデルとしても芸能活動をスタートしました。身長は163cm、体重80kgです。現在の拠点は日本ではなく、米国ロサンゼルス。大学卒業後に渡米して今に至りますが、もし日本にい続けたら今の私はいなかったと断言できます。

そう考える根拠は、日本ではいまだに「ふくよかな体型であること」が、多くの人にいじりや嘲笑の対象にされてしまうと感じているからです。

■「美」の基準が狭すぎる日本

以前、有名芸人さんの番組にプラスサイズモデルが出演していて「デブモデル」とひどい言葉をかけられるのを見て「私ならどんなふうにいい返すだろう?」と真剣に考えたのを覚えています。

そもそも日本では「美しい」とされる体型の範囲が狭く、体型的にも細すぎるように感じます。

フランスでは若者の摂食障害の誘因になるとして、2017年より痩せすぎたモデルの活動が禁止される法律が施行されました。モデルは活動の際に、BMI(※)が低すぎないことや「健康」であることを医師によって証明することが義務付けられるようになりました。具体的な基準の明記は見送られましたが、世界保健機関の基準ではBMI18.5未満は低体重と定義されています。

しかし、日本では女の子の体重の基準として「シンデレラ体重(BMI18)」や「モデル体重(BMI17)」という言葉が使われていたり、「夏までに水着が似合う体型になるようにダイエットしよう」というような広告が普通にあったりします。こうした国では標準体重でも自分はきれいではないと思ってしまうでしょう。ましてや私のような体型をしていると、「自分は醜い」と思ってしまい、自己肯定感はどんどん下がっていきます。いまのように、「自分が大好き!」「私はありのままで素敵!」と自信をもって、自分を表現することなど不可能だったと考えるわけです。

※体重kg÷(身長m)2で算出。身長160cmの場合、標準体重は56.3kg、シンデレラ体重は46.08kg、モデル体重は43.52kgとなる。

■中学校時代は太っていることでいじめられた

実際、日本にいる間は、自分のことが大嫌いでした。

13歳くらいで太り始めて10年以上、親や親族、ときには友人からも「あなたは太っている」「もう少し痩せないといけない」と体型についていわれ続けました。親はいじわるをしていたわけではなく、「女の子はかわいくないと人生を楽しめない」と心配していたのです。でも、ダイエットをしてもなかなか痩せられない私にとっては、心配の言葉もつらかったです。

もっとも苦しかったのは、中学でいじめに遭ったときです。

「デブ」「ブス」という言葉を何度もかけられました。どうしても学校に行きたくなくて、精神科医の先生に診断書を書いてもらい、半年ほど家に引きこもって過ごしたこともありました。登校を再開してからは保健室通いでしたが、それでも時々休んでしまうほど、学校に行くのは苦痛以外の何ものでもなかったです。

■背中を押してくれる先生との出会い

中高一貫校だったので、中3の12月頃まではエスカレーター式で進学することを考えていました。でも、唯一つながっていて「この子しか仲良くしてくれる人がいない」と思っていた友達からも突然無視されるようになり、もう学校に居場所はない……と絶望。高校受験をして転校しました。

しかし、このことが転機になり、運命が変わり始めました。

高校で始めたなぎなたで、運良くインターハイと国体に出場できて、行きたかった大学への推薦を獲得。ここで演劇を学ぶことになり、外見に関係なく、私を認めてくださる演劇の師匠、井田邦明先生に出会ったのです。

井田先生の指導はとても厳しかったのですが、必死で練習に取り組みました。そして、迎えた舞台のあと、「お前はどこに行ってもやっていける」「藤井、お前は世界に行けよ」と言ってくださったのです。

この言葉は、人生のお守りになりました。そして、無謀にもハリウッド俳優になることを目指して、英語も満足に話せないなかで単身渡米したのです。「デブ」「ブス」と呪いの言葉をかけられ続けた日本からとにかく脱出したいという思いもありました。

■日本社会にある「基準」の外へ飛び出して

渡米したからといって、いきなりすべてがうまくいったわけではありません。しかし、アメリカには日本よりはるかに多様な価値観があり、それに触れることによって、少しずつ自分にかけられた呪いが解けていきました。

プラスサイズモデルに挑戦したきっかけは、知人のすすめでした。日本では「太っている」「痩せないと不健康」といわれていた体型を「個性」として活かしてみることを提案され、回ってきた動画の仕事に手を挙げてみたのです。

その動画がきっかけで、当時はまだ珍しかった「アジア人のプラスサイズモデル」として、アメリカで注目されるようになりました。

■「ボディポジティブ思考」をインストールする

しかし、やはり自分に自信が持てません。

そこで、どんなプラスサイズモデルが人気なんだろう? とSNSでリサーチしてみたのです。そこで、KELLY U(@_kellyu)さんを見つけました。

彼女は鍛えていたりメリハリがあるわけでもなく、いってしまえば「インスタ映え」しない体型。「私の友達にこういう子いるなぁ」と思うほど、親近感を覚える見た目をしています。

その彼女がSNSにお腹にシワが寄っているのがわかる水着姿の写真を堂々と投稿しているのを見て、衝撃が走りました!

見た人に「こんな体型でよくビキニなんて着られるね」「よくこんな写真アップできるね」といった、何かひどい言葉をいわれるかも……なんて彼女は全然考えていないのだろうな、と思いました。

他人の目を気にせず、「自分がいいと思うこと」に素直になって生きているのです。ボディポジティブを体現している彼女の姿に、言葉を超えた何かが見えました!

彼女のメッセージも心に刺さりました。彼女は摂食障害に苦しんだ過去があることも公表しています。

辛かった時期を乗り越えて、今は自分の体型を1つの個性として大事にできている。皆も自分の体型や外見を受け入れられるようになる日がくる――彼女が伝えているそんなメッセージを、私も心の底から発信できるようになりたいと思うようになりました。

■多様な美に触れよう

それから「ボディポジティブ・インフルエンサー」ともいえるような「自分のありのままの体を愛そう」というメッセージを発信するモデルや著名人をどんどんフォローしていきました。

彼女らの発信に触れ続けるうちに「こんな美しさもあるんだ」と、美にはいろいろな形があるのだと心底思うことができたのです。

自然と美の基準が変わっていき、気づけば「美しい」と感じる範囲が広くなっていました。同時に、卑下していた自分の見た目も、心から「いいじゃん!」と思えるようになっていきました。

「『私らしい私』を好きでいてくれる人だけ、フォローして楽しんでくれたらいい」。本心からそう思えるようになるまで1年くらいかかりましたが、そう思えるようになった一番のきっかけは、ボディポジティブという考え方に出会えたからです。

だから、今自分の見た目に自信がない人に伝えたい。あなたはきれいです。どんな見た目でも、それぞれ違う魅力を放っていて、美しいのが本当なんです。

そう思えない人は、私みたいにボディポジティブなメッセージを発信する人を片っ端からフォローして毎日見てください。今まで不本意な洗脳をされてきた分、自分で価値観をインストールし直しましょう!

「どんなあなたも美しい」これが真実です。覚えておいてくださいね!

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藤井 美穂(ふじい・みほ)
俳優、プラスサイズモデル
1993年三重県生まれ。桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻卒業。2014年にアメリカ・ロサンゼルスに渡り、語学、演劇を学ぶ。その後、アメリカで俳優およびプラスサイズモデルとして活躍。また、海外通販サイト「SHEIN」のアンバサダーになるなど、多方面で活躍。Netflix「ユニークライフ」(日本語吹き替え)、「Crazy Woke Asians」(漫談)、「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)など出演多数。『「死にたい」「消えたい」と思ったことがあるあなたへ』(河出書房新社)に寄稿。Instagram/TikTok

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藤井美穂さん - 撮影=dalure

(出典 news.nicovideo.jp)

𠮷川晃司のコメント

そうですよね。日本では細くて背が高いが美しいとされていますが、アメリカでは様々な体型が受け入れられているので、自分に合ったモデルとして成功することができるんですね。

<このニュースへのネットの反応>

プレオンの反響の大きさって、炎上したりボロカス批判されてコメント付きまくる事を言ってんの?たまにマトモな寄稿者もいるのに、ベストとか言ってるのほぼほぼワースト5だろ

美醜逆転で立場逆転でキモチ良くなるんはファンタジー小説の中だけにして欲しい。先進国の欧米では世界の価値観がアップデートされた? セレブの配偶者やパートナーみてから言えwww

ポリコレって資金源何処なんだろな?

欧米でもデブは不摂生の結果、だらしない奴って扱いだろ基本

美人が叩かれて*やデブを贔屓するようにしただけ。価値観を広げたのではなく反転。それを無理やり強制してるんだから果てしなく悪質。この女はデブで*だから採用されたのであって、美しかったら起用されてない

プラスサイズモデルの藤井さんネタをパクるパヨオン

美しいかどうかは受け手の問題だし、そういうニーズもあってうまく立ち回ったという成功はいいとして、細過ぎるモデルと同じように健康に悪いレベルなら商業ベースに手本のように載せるのはダ*タで良くないのではと思う。

これ何度目の記事だ?去年もこれ2度見た覚えあるぞ?これで3度目?■写真の見た目から生理的に無理だから印象(何度もグロいの出すなよ)に残ってる。自称モデル(元男性のジェンダーに見えてしまう)マジで生理的無理。■かわいい系?アニメポスター(最近じゃ原神がきもいくらいめだつ)や男祭りのポスターがきもいと女性側からのクレームで排除されたんだし

色んな体形の人がいるんだからモデルに色んな体形の人を採用するのは理にかなってる、問題は配偶者として選択されるかどうかだと思うんだけどその辺を混同してると後で泣きを見るんじゃないかな…

話の展開としては、さすおにとか魔王学園の不適合者とか落第騎士とかそういう話だと思うんすよね

美醜の感覚とは関係ない。 アメリカはデブが非常に多いから、デブ用の服を紹介するデブモデルの需要がある。 日本はデブが少ないので需要がない。

日本には馬子にも衣装という諺と豚に真珠という諺もあるけど豚に衣装なんてのは聞いたことないな

アメリカの場合は肥満の基準が日本と違い過ぎるという事なのでは?。アメリカではどんな肥満でも「ボディポジティブ」と言っているのだろうか?。フランスの痩せすぎモデル規制を引き合いに出しているが、そもそも肥満は健康上の問題が無いのだろうか?。

申し訳ないが日本じゃそもそもモデルにも選ばれていないんじゃないかな…

木は森に隠せ、デブはアメリカで暮らせ。こうですか。

稀に良く『半トン人間』が家から発掘される欧米だから…(震え声 何故、「体重250キロの壁」を軽く超過していく連中が多いのかと

自分以上の巨漢や肥満をみて安心しただけは?まぁ開き直りでも何でも心の平穏を保ててるならいんじゃね。ただ心はともかく体は嘘をつかんけどな、まず高脂血症あたりか

「俺を美しいと言わない奴はレイシスト扱いして晒すぞ」って脅していけば俺でも美しい人になれるわ

「こんな私でも豚オークの国に行ったら美人扱い!」で?それで満足なの?あーそう……。

トップモデルもピザデブモデルも異常体型だから興味無い。どちらも見た目に不健康だから。本来の動物としての生存性を考えたら中庸性こそが正義。醜美の判断は各個人の問題。それを一方的に自分が正しい、美しいと自己主張されても認める気は無い。

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