水原通訳疑惑が大谷翔平に及ぼす影響とは? MLBの対応に波紋
 ドジャースとパドレスがメジャーリーグ初の韓国開幕を成功させた余韻がさめない3月21日早朝、ドジャースの大谷翔平(29)の通訳を務めてきた水原一平氏(39)の違法賭博疑惑がロサンゼルス・タイムズなど複数の米メディアで報じられた。

水原氏は違法なブックメーカー(賭け屋)に負け分の総額450万ドル(約6億8000万円)もの借金を抱え、その返済が大谷の口座から送金されたという。ドジャース球団は水原氏を解雇、大谷の代理人弁護士の所属事務所は「翔平が大規模な窃盗の被害に遭っていることが判明した」との声明発表に至った。

女性問題をはじめ、これまで無縁だったスキャンダルに巻き込まれた大谷。しかも渡米以来、二人三脚で二刀流を完成させた名コンビであり家族同然の人物の衝撃的な不祥事だ。

水原氏は捜査対象となり、かつて野球賭博に関与してメジャーから永久追放されたピート・ローズ氏まで引き合いに出されている。

「大谷のために一平が身代わりになったのではないか」という憶測も…

そして最大の焦点は「大谷本人に問題が波及するか」である。昨オフにスポーツ選手史上最高額の7億ドル(約1050億円)の10年契約を結び、名実ともに世界一のアスリートになった直後の騒動を世界中が固唾を飲んで見守っている。

水原氏の疑惑が発覚し、開幕2戦目を控えた21日の午後、試合会場ソウルの高尺スカイドーム周辺では、MLBの指示でチームのバスに報道陣が近づけなくなるなど物々しい雰囲気が漂っていた。

その時点では一部の米球界関係者の間で「違法賭博をした大谷のために一平が身代わりになったのではないか」という臆測さえ流れていたのだ。

その後、即座に「MLBは大谷を処分対象にしていない」という報道がなされた背景について、とあるメジャー球団関係者はこう推測する。

「MLBの『全力でオオタニを守る』というスタンスがはっきりと出ていました。大谷は処分対象でも違法賭博の協力者でもない、ましてや当事者などでもない。大谷は被害者であり、守られるべき存在だという方向で意思統一がなされたようです」

AP通信によると、違法ブックメーカーが連絡を取っていたのは水原氏のみで、大谷との接触は電話などを含め一切ないという。さらに水原氏が賭けていた対象にはメジャーリーグは含まれず、永久追放には至らないと見られている。

水原氏は賭博の違法性について「これが違法だとは知らなかった」と語っているが、この発言の信憑性はいかほどだろうか。

「水原氏が違法だと認識していなかった可能性は十分にあると思います。スポーツ賭博が禁じられているのはカリフォルニアなど一部の州で、アメリカの多くの州で認められています。通訳ですから英語は堪能で、ブックメーカーの説明を誤解したとも考えづらく、メジャー球団は毎年キャンプ中に賭け事に対する注意喚起の講習を行っており、水原氏も大谷選手と一緒に受けていて警戒心はあったはず。

ただ違法ブックメーカーは、時には女性を使うなどしてセレブやその周辺の人物を誘惑すると聞きます。相手が(水原氏より)一枚も二枚も上手だったということでしょう」(米大手マネジメント会社の代理人)

水原氏に違法性の認識がなければ、大谷についてもその点は争点にならない。

「全て自分の責任」という水原氏の発言の裏側は…

しかしアメリカで2人に対する風当りが強まりつつある理由として、ESPNのインタビューでの発言を水原氏が後に180度翻したことは大きい。

当初19日(現地時間)には大谷にギャンブルの借金の肩代わりを依頼し、「明らかに彼(大谷)は不満そうだった。私が二度とこのようなことをしないと確認した上で、助けてくれると言った」と語り、水原氏の目の前で大谷がパソコンからブックメーカーに送金したと話した。しかし翌20日には、「大谷は何も知らなかった」と主張を変えたのだ。

「インタビュー後に内容を知った大谷の弁護士事務所が『待った』をかけたと見るべきでしょう。当初の証言通りだと、大谷も水原氏の賭博を認識していたことになってしまうので、撤回を求めたことは容易に想像できます。水原氏の『全て自分の責任。あらゆる結果に直面する覚悟はできている』との言葉に全てが表れているのではないでしょうか」(同前)

ESPNの記者はもちろん水原氏に発言を覆した理由を問いただしたが、「発言は虚偽だった」という回答だった。

しかし、パソコンにログインしての送金などの水原氏の証言は生々しく、大谷が送金に関与したかどうかは今後の捜査を待つしかない。大谷が関わっていないとすれば、水原氏は大谷の口座から巨額の資金をどのようにブックメーカーに送ったのか。そして大谷の代理人弁護士の表現する「窃盗」ならば、賭博よりはるかに重い罪に問われる可能性もある。

「大谷サイドは水原氏とは意思疎通を取りながら整合性にほころびが出ないようにしていくと思います。水原氏のギャンブル依存症という個人の問題にとどめると思います。大谷は米球界待望のスーパースターなんです。MLBも大谷に火の粉を飛ばすわけにはいかないでしょうから…」(MLB西海岸球団関係者)

「賭博問題の真相を追及しても誰もハッピーにならない」

MLBはかねて人気面でアメフトやバスケットボールに後れを取っている状況で、大谷は復活のための起爆剤だった。このことは2021年のオールスター戦で、二刀流でプレーさせるために、投手と指名打者の同時先発が可能な特別ルールまで導入したことからもわかる。翌年には公式戦にも導入され、メジャーでは「大谷ルール」と呼ばれている。

さらに、ロンドンや中米で公式戦を開催し、2025年には日本で開幕戦を行いドジャースが来日するプランもあると言われる。

MLBが描く国際戦略の中で、大谷は決して欠くことができない象徴的な存在なのだ。それは今回の騒動への対応でも揺らぐことはなさそうだ。

「今回の賭博問題の真相を追及しても誰もハッピーにならないことはMLB、ドジャース、スポンサーを含めた利害関係者全ての一致した認識だと思います。大谷を守ることが第一で、それは水原氏自身もよくわかっていることでしょう。今後よほど大谷に不利な事実が発覚しない限り、イメージダウンしないようMLBは全力で擁護していくと思います」(同前)

一点の曇りもない二刀流が再び見られる日が早く来ることを祈るほかない。

(木嶋 昇)

大谷翔平と水原一平氏 ©時事通信社

(出典 news.nicovideo.jp)

メジャーリーグベースボール(MLB)のスター選手、大谷翔平選手の通訳であった水原一平氏の違法賭博疑惑と、それが大谷選手に与える影響について報じています。水原氏が大きな借金を抱え、その返済のために大谷選手の口座から送金されたという事実が、ロサンゼルス・タイムズをはじめとする複数の米メディアによって報道されたことが記事の中心です。

この報道は、MLBの韓国での開幕戦という大きなイベントの直後に発覚し、その余韻を一気に冷ます形となりました。特に、大谷選手がこれまでスキャンダルとは無縁の存在であったこと、そして水原氏との長年にわたる信頼関係があったことを考えると、このニュースは多くのファンにとって衝撃的なものであったことでしょう。

記事では、水原氏の行動が大谷選手にどのような影響を与えるか、そしてMLBや関係者がどのように対応しているかについても触れられています。特に、MLBが大谷選手を守る姿勢を明確にしている点、そして水原氏が違法賭博の協力者や当事者ではなく、被害者として扱われていることが強調されています。

水原氏の違法賭博疑惑が大谷選手やMLBに与える影響は計り知れませんが、記事からはMLBが大谷選手のイメージ保護に全力を尽くしている様子が伺えます。また、水原氏が賭博の違法性について「知らなかった」と主張している点や、その後の発言の変更など、この問題の複雑さを示しています。

この事件は、スポーツ界における違法賭博の問題を改めて浮き彫りにし、選手やその周囲の人々がどのように法律や倫理に則って行動すべきか、そしてどのようなサポート体制が必要かという議論を促すものです。大谷選手が今後どのようにこの問題を乗り越え、フィールドでの活躍を続けていくかが注目されます。

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