斎藤知事が高校生の手紙を紹介し“正当性”を主張 – 専門家が心理分析で指摘する『目線が動かない理由』
兵庫県議会で不信任決議が可決された斎藤元彦知事が26日の会見で、30日付で失職した上で、出直し選挙に臨むことを発表した。
会見では、県立大学授業料の無償化などの実績をアピールした上で、文書問題については「結果としてこのような状況になったのは私の力不足や至らなさがあった」と頭を下げた。
自らの主張を貫いた斎藤知事はどのような心理状況にあったのか? 東京未来大学 子ども心理学部長 出口保行氏に聞いた。
まず出口氏は「人に何か言われても自分が正しいと主張することが非常に多かった。心理学における『確証バイアス』といわれるものが強く出ていた」と分析した。
「『確証バイアス』は誰にでもあり、私たちはある程度何かしらの思い込みを抱えながら生活している。地元の高校生から受け取った“知事を応援する手紙”を引き合いに出したのも『自分は四面楚歌ではなく、自分の主張を理解してくれる人もいる』と表現し、自分の正当性を担保したかったのだろう」
さらに出口氏は斎藤知事の「目線」が気になったという。
「どんな質問が来ても斎藤知事の目線はほとんど動かなかった。実は、『不安が強いと目が泳ぐ』という言説は正しくなく、人は不安が強いと相手が何を思っているのかに対して敏感になるため目は泳がなくなるのだ。会見を通してそんな側面が非常に強かった」
最後まで辞職という選択肢を頑なに拒んだ斎藤知事。出口氏は「極度の緊張・不安によって、他人からの批判や指摘を客観視できない心理状況があったのではないか」と分析する。
「人からいろんな形で批判をされたり、意見をもらっても『今は耳を傾ける段階ではない』と判断しているようだ。今は自分の主張を揺るぎないものとして、それが必ず県政・県民のために貢献できるという強い意志を持っているという表れだと思う。だが、今後自身の行動を客観的にチェックできるようになれば、発言が変わる可能性はあるだろう」
今後兵庫県で実施される選挙。大きな注目を集めているが、果たして投票率は上がるのだろうか?
教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は「(注目度が投票率に反映されるかは)わからない」と分析した。
「経済学の研究によって『政治家のスキャンダルが出た後の選挙は投票率を上がるケースも下がるケースもある』ことがわかっている。『選挙、あるいは政治活動によって世の中が変わらない』と人々が諦めてしまった時にはかえって投票率は下がってしまうのだ。しかし、投票率の低下が人々にとって良い結果をもたらさないことは明らかだろう。こういう時こそ私たちがちゃんと政治を監視しているんだということが明らかになるように、私としては兵庫県民の皆さんにはしっかり投票に行っていただきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
彼の姿勢にはリーダーとしての自覚と責任感の欠如が見受けられると言えます。まず、会見で「力不足や至らなさ」と述べたものの、辞職を最後まで拒んだ態度は、自己正当化と現実逃避の現れです。兵庫県のリーダーとしての責任を果たすならば、自らの過ちに対してより誠実に向き合うべきでした。
また、心理学者の分析にある「確証バイアス」による一貫した自己主張は、他者の意見や批判を受け入れる柔軟さに欠けていたことを示しています。これは、県民の声に対する無視とも取れ、民主的な政治家としての姿勢とは言い難いです。
さらに、彼の不自然な目線についても、極度の緊張や不安によって周囲の状況を客観的に見ることができなかったことが伺えます。これは、批判を冷静に受け止め、反省し行動に移すべき時に、その場を逃れようとする心理状態とも解釈できます。
兵庫県民にとって重要な選挙が迫っていますが、斎藤知事がこれまでの過ちから学び、真摯に県政を運営する姿勢を見せなければ、県民の信頼を取り戻すことは難しいでしょ