高市早苗氏の惜敗とカマラ・ハリスの伸び悩み:日本とアメリカで女性指導者が誕生しにくい深刻な理由

高市早苗氏の惜敗とカマラ・ハリスの伸び悩み:日本とアメリカで女性指導者が誕生しにくい深刻な理由

11月のアメリカ大統領選で、初の女性大統領は誕生するのか。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「高市早苗氏も『初の女性首相』がかかった自民党総裁選で惜敗したが、党関係者に取材すると『女性という点に抵抗がある議員は大勢いた』という声があった。日米ともに根深いミソジニー(女性嫌悪)を抱えている」という――。

■ハリス氏にもトランプ氏にも吹かない風

11月5日(日本時間6日)に行われるアメリカ大統領選挙まで2週間あまり。民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)と、ホワイトハウス奪還を目指す共和党、ドナルド・トランプ前大統領(78)との戦いは、どちらが勝つか、依然として不透明なまま、最終局面を迎えている。

その最大の理由は、アメリカで「分断」が深刻化し、選挙前から政権を維持したい民主党支持層と、トランプ信奉者が多い共和党支持層に色分けされてしまったことにある。

全米の有権者のうち、これまで3割~4割程度いると見られていた無党派層は減り、どちらの候補者も「風」を吹かせる余地を失くしてしまっているのだ。

もう1つは、ハリス氏とトランプ氏ともに、長期間、風を吹かすことができない「弱い候補」という点だ。今年7月、トランプ氏銃撃事件で一気に高まった「もしトラ」の可能性は、民主党候補がバイデン大統領(81)からハリス氏に代わった途端、急速にしぼんだ。

そのハリス氏も、後継指名された直後の期待感はなく、全米を対象にした世論調査で、わずか2%から3%、トランプ氏をリードしている程度だ。1992年のクリントン氏対ブッシュ氏以降、現地で取材してきた筆者からすれば「誤差」の範囲だ。

■政治専門紙「ハリス氏では勝てない4つの理由」

そうした中、ワシントンの政治専門紙「THE HILL」が、10月12日の電子版で「The 4 reasons Harris is losing」(ハリス氏が負ける4つの理由)と題した記事を公表した。

これは、かつてホワイトハウスで高官を務めたグラス・マッキノン氏が寄稿したもので、「The first is Harris herself.」(まず、ハリス氏本人に問題がある)などとする理由を4つ示したものだ。その概要をまとめておく。

(1)ハリス氏は良い候補者ではない
自信がなく、リハーサルも吟味もしていない政策に関する質問を受けるのを恐れているように見える。
(2)バイデン政権の踏襲でしかない
ABCテレビのインタビューで、司会者が「過去4年間で、バイデン氏と違うことを何かしましたか?」と尋ねた際、「思い浮かぶことはない」と答えた点は、民主党員や主要メディアを落胆させた。
(3)熱狂的な支持者がいない
トランプ氏には岩盤支持層と呼べる信奉者がいる。それは、買ったり作ったりすることができないものだが、ハリス氏には残念ながらそういう熱い支持者がいない。
(4)4年前より国民の暮らし向きが良くなっていない
世論調査で「4年前よりも今の方が幸せですか?」という質問に「4年前のほうが幸せだった」と答えるアメリカ国民が多い。これはつまり、バイデン・ハリス政権の失政を意味する。

■消去法で「マシな候補」を選んだ自民党

ハリス氏では勝てない理由は、これら4つの「……ない」で括ることができる。

確かにハリス氏は、イスラエルをはじめ中東問題などに踏み込んだ言及がない。掲げている政策は、第3次オバマ政権、もしくは第2次バイデン政権と同じような内容だ。強固な支持層を持たず、「それを今言うなら、なぜこれまでやらなかった?」との批判も受けやすい。

筆者は、この記事をアメリカ・FOXテレビの知日派プロデューサーに見せ、感想を尋ねた。以下がその答えである。

「4つのうち(1)は主観にすぎませんが、(2)(3)(4)は端的にハリス氏の弱さを突いています。アメリカではコロナ禍の時期よりも生活が苦しいと答える人が半数近く。失業者も増えています。その点は、現職の副大統領という点がマイナスに働きます。

でも、日本の首相レースで、イシバさん、タカイチさん、モテギさん、それから若いコイズミさんでしたっけ? 全ての候補が4つのうちのどれか、人によっては複数が当てはまったはずです。だから、『The lesser of nine evils』(9人の候補のうち消去法でマシな候補を選択)で、イシバさんになったのではないですか?」

■高市早苗氏の敗因はミソジニーではないか

筆者は、ハリス氏が勝てそうにない理由は他にもあると見ている。「THE HILL」が指摘した4つに加え、ミソジニー(misogyny)という要素を挙げたい。むしろ、これが1番ではないかとみている。

ミソジニーとは、「女性に対する嫌悪や蔑視」を意味する言葉で、性別や人種などを理由に低い地位に甘んじることを強いられる「ガラスの天井」を表すワードである。

高市早苗前経済安保相(63)が、先の自民党総裁選挙で惜敗したシーンを思い出していただきたい。

高市氏の敗因を振り返れば、日韓関係の悪化などを危惧した岸田文雄前首相(67)が、旧岸田派議員に「決選になったら石破に」と指示したことが大きい。

ただ、選挙当日、自民党本部に詰めていた筆者は、高市氏の敗因について、1回目の投票と決選投票の間に行われた候補者による5分間スピーチで、「女性初の首相」に言及しなかったことにもあると感じた。

■足枷になるかもしれない「女性」を抑えた

あの場面で、高市氏が、「安倍元首相の遺志を継ぎ、女性初の首相になります」と宣言していれば、結果は違ったかもしれない。しかし、こんな声もある。

「表立っては言えないけど、女性という点に抵抗がある議員は大勢いたと思いますよ。男性議員だけじゃなく女性議員の中にもね」(旧安倍派の前衆議院議員)

高市氏は、9人の候補者が並ぶ演説会や討論会で、柔らかい笑顔を努めて作っていたが、投票直前の最後のスピーチで「女性」を前面に出すことを抑えたのは、極度の緊張に加え、党内に渦巻くミソジニーに配慮したからかもしれない。

高市氏の敗北で思い出したのは、2016年11月8日、ニューヨークで目の当たりにしたアメリカ大統領選挙だ。

トランプ氏が当選確実となったのを受け、敗れたヒラリー・クリントン氏が、「(女性初の大統領という)最も高くて硬いガラスの天井はまだ打ち破れていないが、いつか誰かが達成してくれる」と口惜しそうに語った瞬間は今でも忘れることができない。

■8年経っても「ガラスの天井」は高くて硬い

そのクリントン氏は、8月19日、民主党大会で演説し、「ガラスの天井をもう少しで打ち破れるところまで来ている」と、ハリス大統領誕生に強い期待感を示した。

ハリス氏は女性であると同時に黒人、正確に言えばインド系移民2世である。ただ、「非白人」という点では、2008年の大統領選挙で、バラク・オバマ氏(当時47)が、肌の色の壁を打ち破っている。残るは「女性」という壁だけだ。

ここまでハリス氏が表舞台に登場したシーンを振り返ると、中絶問題以外で、ジェンダーに踏み込むことはほとんどない。

服装は常に、ベージュか白か青系のスーツ姿で163センチの体を包み、時折、笑顔は弾けるものの、いたって中性的だ。

ハリス氏から率先して「女性」や「ガラスの天井」といったワードを使うこともなければ、クリントン氏のようなエリート臭を漂わせることもしない。

そこはハリス氏や陣営スタッフのミソジニーに配慮した賢い点だが、「リアル・クリア・ポリティクス」などの世論調査によると、支持率はペンシルベニアやミシガンなど激戦7州のうち5州で、トランプ氏がリードしている。

しかも、ミシガンとウィスコンシンは、最近になってトランプ氏に逆転を許している。日本で伝えられているほどハリス氏は強くないのだ。

■勝敗を握る激戦州ではトランプ氏が有利

白人男性のトランプ氏と白人女性のクリントン氏の対決となった2016年の大統領選挙では、白人女性の47%がトランプ氏、同45%がクリントン氏に投票している。

今回、鍵を握る黒人票では、ニューヨーク・タイムズ紙の世論調査(10月12日公表)で、78%がハリス氏を支持していることが明らかになったが、前回、バイデン氏は黒人の90%以上から支持を得ていた。

ハリス氏の場合、「強さ」を求める黒人層に、女性であるがゆえに受けが悪いのだ。オバマ元大統領は、この現状を、「女性が大統領になるという考えに共感できず、別の選択肢に飛びつこうとする態度は受け入れられない」と批判している。

最後にもう1つ、ハリス氏が負けるかもしれないと考える理由を挙げておく。それは、「隠れトランプ」はいても「隠れハリス」はいないという点だ。

2016年の大統領選挙では、筆者を含め多数のメディア人が、「隠れトランプ」の多さを見抜けず、直前まで「クリントン氏優勢」という報道を流し続けた。筆者などは、開票直前のラジオ番組で、「数時間以内に女性大統領が誕生する歴史的な日になりそうです」とまで言い切ってしまった。

お恥ずかしい限りだが、今回も「隠れトランプ」は存在する。そもそも、世論調査や情勢調査などというものは「スープの味見」と同じで、表面的なところをすくって飲むのと変わらない。コップや鍋の底に何が沈殿しているのかまでは可視化できない。

■「過激な男vs無難な女」どちらが勝つか

底をかき回してみると、「あんな過激な男に投票するなんて言えない」と答えながらトランプ氏に投票する人もいれば、「やっぱり女性っていうのは……」とミソジニーにかられる人もいることがわかるはずだ。

したがって、「トランプ氏がリードしている」という調査結果は信用でき、「数%後れをとっている」という調査結果は、ほぼ拮抗しているとみていいということになる。

「スープの味見」程度では想定外のことも生じる。それは、石丸伸二前安芸高田市長(当時41)が大健闘した東京都知事選挙や、10月27日の衆院選投開票を前に、特に「裏金議員」の苦戦が伝えられる自民党の獲得議席数も同じかもしれない。

ハリス氏vsトランプ氏、決め手を欠く「弱い候補」同士の戦いは、石破首相が誕生した際の「嫌われ者の男と保守派の女」対決と似て、「過激な男と無難な女、どっちがマシか」で決まることになりそうだ。

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清水 克彦(しみず・かつひこ)
政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授
愛媛県今治市生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。文化放送入社後、政治・外信記者。米国留学を経てキャスター、報道ワイド番組プロデューサー、大妻女子大学非常勤講師などを歴任。専門分野は現代政治、国際関係論、キャリア教育。著書は『日本有事』、『台湾有事』、『安倍政権の罠』、『ラジオ記者、走る』、『2025年大学入試大改革』ほか多数。

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左)高市早苗氏(写真=内閣府/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)、右)カマラ・ハリス副大統領(写真=アメリカ合衆国連邦政府/ローレンス・ジャクソン/PD-USGov-POTUS/Wikimedia Commons)

(出典 news.nicovideo.jp)

この記事では、アメリカと日本における女性指導者の登場が難しい背景について、カマラ・ハリス氏と高市早苗氏の例を取り上げ、特にミソジニー(女性嫌悪)の影響が強調されています。この記事に対する感想として、いくつかの点が際立って考えさせられます。

まず、ハリス氏と高市氏が直面した政治的な挑戦が、単なる政策の問題にとどまらず、女性であることが大きな障害となっているという主張は、現代社会の進歩に対していまだ残る深刻な問題を示しています。特に、ミソジニーが政治的判断に影響を与えているという事実は、ジェンダー平等が進んでいるとされるアメリカや日本でも、依然として解決されていない問題であることが浮き彫りにされています。

カマラ・ハリス氏についての記事では、彼女が「弱い候補」として見られている理由が具体的に挙げられていますが、これらの理由のいくつかは、単に彼女の能力や政策に対する評価というよりも、性別や人種による固定観念に基づいている部分もあるように感じます。特に、「熱狂的な支持者がいない」という点や「女性であることが黒人層に受け入れられない」という指摘は、候補者個人の特質ではなく、社会的な偏見や期待が反映されたものです。

一方、高市早苗氏についても同様に、彼女が「女性であること」によって党内で不利な立場に立たされたという指摘がなされています。特に、彼女が総裁選で「女性初の首相」を前面に押し出さなかったことが、党内のミソジニーに配慮した結果であった可能性が示唆されています。これは、女性指導者としての立場がいかに難しいものであるかを象徴しており、性別を前面に出すことがリスクとなるという現実を反映しています。

この記事を通じて感じるのは、女性指導者が誕生しにくい理由は単なる能力や政策の問題にとどまらず、社会全体が抱えるジェンダーに対する根深い偏見や不平等に根ざしているということです。ハリス氏や高市氏のような女性リーダーが登場し、活躍するためには、単なる選挙戦略の変更だけではなく、社会全体の意識改革が必要であることを痛感させられます。

<このニュースへのネットの反応>

日本の間接選挙とアメリカの直接選挙による国家主席選出を一緒にすんな。 高市の惜敗は「派閥選挙」の結果で、性別なんて関係なしだ。

高市早苗と石破新総理の決選投票で女性の活躍!と息巻いてた上川議員らの女性議員が高市早苗ではなく石破新総理に投票してたのは印象に残ってる。

高市氏を引き合いに総理になれなかった理由を語るのは、石破より高市氏のほうが総理に相応しかったにも関わらず女性ゆえなれなかった、と言う前提がなくてはならないのですが、女性云々は散々記事なってるのに、なぜ石破より高市氏が勝ってるという根拠はどこも記事にしたがらないのてすかね?いくらでも書けるだろうに。

実にプレオンらしい記事タイトル

これ書いた奴の頭の中どうなってる?高市さんが勝てなかったのは自民党が腐ってたから。カマハリが苦戦してるのは本人の能力と資質を有権者に見抜かれてるから。女性蔑視云々はそれぞれの理由で関係ない。

1コメの人に全面同意。

どっちの候補も女性だからとか殆ど関係ないだろ。高市はクソメガネのせいだし、ハリスは自身の能力の無さのせい

つまりサンモニ出演者はミソジニーって事?

日本の党内選挙とアメリカの国民選挙は全てにおいて別物で同じにして語れるものではないだろ(呆れ)。そもそもハリスは強いって報道があったか?散々疑問視してたろお前等は。あと黒人支持がバイデンより劣るからといって票が入らない訳じゃない。人種差別を隠さないどころか攻撃が激しくなる一方のトランプに黒人の誰が票を入れるんだよ、妥協してハリスに入れる確率がよっぽど高いわ

ハリスの名前を記事を見ると前にあった でカマラハリス を思い出してしまってクスっときてしまう

ハリスって立ち位置はあえて誰かと言えばセクシーだよ?言動が支持者ですら討論に出したくないというコメント出す人がいるレベル

高市の敗因がミソジニーのせいとか、単なるお前の願望だろうが。むしろ*供が*のレッテル貼りしている中道や右派の男性は高市を支持している様に見えたぞ。

ハリスと一緒にすんなや

女性なんちゃらに担ぎ上げられたのが空っぽの神輿でない事を願う限り

サッチャーくらいのやる気がある女性政治家が生まれないのが一番の原因や

もうすでに言われてるけど、女性云々が主要因ではないね。本人の資質や周囲の問題でしかない

女性の活躍の場をとか騒ぎながら、高市早苗に安倍晋三の女装とかぬかしやがるからなクソ左翼どもは。日本人女性で一番トップに相応しいのは高市早苗以外いないのに

ミソジニー? 自民の女性議員も高市氏に票を入れなかったんだよなぁ。

どちらも女性だから投票してくれって言わなかったとのことだが、いいことだと思う。関係ない話だもの

ダラダラと長文書いてまともな批評も出来ないのかよ。こんなクズメディア滅んでしかるべきだな

国民はどうかは知らんが、少なくとも自民党員は高市氏を支持しており順当にいけばそのまま高市総裁だったのを、クソみてえなカス議員共が無理矢理阻止したのがこないだの総裁選なんだが。本人がカスすぎて国民、党支持者からも支持されてないハリスと一緒にすんなよ。

候補者名をカタカナで書いて「でしたっけ?」とか言っちゃった後の『The lesser of nine evils』w痛ぁw痛いわぁwこれが政治ジャーナリストw

高市はそのうち自力でなるんじゃねーの。

日本は女性蔑視パヨのせい。アメリカはポリコレパヨが*すぎるせい。

高市が落とされた理由は保守色を嫌った岸田を筆頭とする左翼議員の私怨。女性活躍を口実に無能女議員をゴリ押しさせてるはリベラルだが、初の女性総理を!と訴えた上川を始めた女性議員が皆石破に票を投じたのは厚顔無恥

あの人と同一視されるのは流石に高市氏が可哀想だ。

ハリスはポンコツすぎたな、あと32日の動画とかフェイクかと思ったもの

日本の首都である東京の都知事は女性なんですけど。あ、どこかの都知事立候補者は女性だから支持されなかったらしいですね。都知事に選ばれたのは女性なんですけども

性別関係なく有能な高市さんと属性でしか評価されない人物を一緒にするなよ

人を性別だけで判断して中身を全く見てない著者

国民投票で決めれるなら高市さんが首相になってたな

高市さんとハリスを一緒にするな。ハリスに人気ないのは元サンフランシスコ市長と不倫して政治家として引き上げてもらった過去が原因だろ

むしろ高市さんが女性である事を前面に出したスピーチなんかしてたら幻滅してるけどね。

女性だから負けたってのはそれこそ性差別だろ、ハリスの方はわからんが高市は右翼で有名だし裏金議員もいたからな、差別的で男女対立を煽ろうとするこのような記事が掲載されて残念ですわ

結局女性に活躍の場を! とか言っても男性議員は女性総理の下で政治活動したくない、女性議員は自分以外の女性が目立ち躍進するのは嫌とかいう下心が見え見えなのよ。そのせいで歴代でも屈指の国民に支持されていない総理が誕生して自民党どうすんの?

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