闇バイト強盗殺人で『家族に危害が』発言も、ネットでは『同情の余地なし』の声多数…法的見解は?
「家族に危害が加えられるかもしれないと考えて断れなかった」。横浜市青葉区の住宅で男性が殺害されて現金が奪われた事件で、強盗殺人の疑いで逮捕された容疑者はこう供述しているという。
首都圏を中心に闇バイトによる強盗事件が相次いでいるが、報道によると、この容疑者はSNSで「ホワイト案件」という投稿を見つけて、闇バイトと知らずに指示役とつながったとみられている。
本当に「家族に危害が加えられる」としたら、同情する余地は少しありそうだが、ネット上は否定的な声が多い。はたして、法的にはどう考えられるのだろうか。本間久雄弁護士に聞いた。
●原則として「犯罪」は成立する
家族に危害を加えると脅されていたとしても、原則として、犯罪は成立します。ただし、緊急避難が成立したり、期待可能性がないとされた場合は、犯罪は成立しません。
緊急避難とは、自己又は他人の生命・身体・財産その他の法益に対する差し迫った危難を避けるために、ほかに方法がない場合、やむをえず他人の法益を害する行為をいいます。
緊急避難が成立する場合、刑法上の違法性がないため、罰しないとされています(刑法37条1項)。
期待可能性とは、違法な行為をした者が、具体的な事情の下で、違法な行為をしないで、他の適法な行為をすることが可能であることをいいます。期待可能性がない場合は、刑法上の責任を問うことはできないとされています。
●緊急避難は成立するのか?
この点が問題となった裁判例として、東京地裁平成8年6月26日判決(判タ921号93ページ)があります。
この事案は、オウム真理教元信者の被告人が、被害者と共に母親を連れ出そうと教団施設内に入ったところを見つかって取り押さえられ、教団施設内の一室に連行され両手錠を掛けられたまま教団幹部らに取り囲まれる中、教団代表者から被害者を殺さなければ被告人も殺すと言われ、被害者を殺害したというものです。
判決では、「緊急避難における『現在の危難』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることをいうのであり、近い将来侵害を加えられる蓋然性が高かったとしても、それだけでは侵害が間近に押し迫っているとはいえない。また、本件のように、生命対生命という緊急避難の場合には、その成立要件について、より厳格な解釈をする必要があるというべきである」としたうえで、被害者の殺害を断っても、直ちに被告人が殺害されるような状態にはなかったと事実認定して、緊急避難を認めませんでした(結果として、「過剰避難」の成立は認められて、執行猶予付きの有罪判決となっています)。
また、この判決は、期待可能性の問題について、「期待可能性の理論による責任の阻却は、厳格な要件の下に認められるべきであり、客観的にみて当該行為が心理的に抵抗できない強制下において行われた場合など、極限的な事態において初めて責任が阻却されるにとどまるというべきであろう」とし、極限的な事態ではなかったとして、期待可能性の理論の適用を認めませんでした。
闇バイトの事案では、家族に危害が加えると脅されても、警察に通報したり、家族を一時的に避難させるなどして家族への危害を回避させることは可能であり、危害が間近に押し迫っているということは認めることは困難です。緊急避難の成立も期待可能性の理論の適用もできないでしょう。
●さして情状酌量はされない可能性がある
また、刑法は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と情状酌量を規定しています(刑法66条)。
脅しの態様などによっては、酌量減軽がなされる可能性がありますが、闇バイトの手口や闇バイトに引っかかりそうになったときの対処法(警察への通報や周囲の人々への相談)についてマスコミ報道で大々的に報じられていますので、脅されたとしても、警察や周囲に相談しなかったほうが悪いとして、さして情状酌量はされない可能性があります。
「家族に危害を加える」と言われたとしても、犯罪の実行を拒否した闇バイト応募者に対して、いちいち復讐をしていたら、それだけ犯罪グループが捕まるリスクが高まるわけですから、実際に家族に危害を加える可能性はさほど高くないのではないかと思います。
闇バイトに引っかかりそうになったら、まずは警察や周囲に相談するということが大事です。
【取材協力弁護士】
本間 久雄(ほんま・ひさお)弁護士
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。
事務所名:横浜関内法律事務所
事務所URL:http://jiinhoumu.com/
この事件に対する「同情の余地なし」という声に賛同します。まず、容疑者が「家族に危害が加えられるかもしれない」と感じていたとしても、現代の社会では、そのような脅迫に直面した場合には、警察や他の機関に助けを求める手段があることは広く知られています。加えて、SNSやメディアを通じて、闇バイトの危険性についての情報も十分に共有されており、脅されたというだけで犯罪行為を実行することが許されるべきではありません。
法的にも、「緊急避難」や「期待可能性」の主張が成り立つ可能性は低いことが示されています。家族に危害が及ぶ可能性が現実的であったとしても、まずは他の選択肢を探し、警察への通報や家族の避難を考えるべきです。犯罪を実行すること自体が、危険回避のための最終手段と見なされることは法的に厳しい解釈となっていることは、過去の判例からも明らかです。
また、実際に犯罪グループが家族に危害を加えるリスクがどれほど現実的なのかも疑わしいです。多くの場合、犯罪者グループは、脅迫によって心理的に圧力をかけ、犯罪を実行させようとするだけであり、家族への直接的な危害を加えることはリスクが高いため実行しないことが多いとされています。そのため、「家族を守るためにやむを得ず犯罪に加担した」という主張は、正当化にはならず、情状酌量される可能性も低いでしょう。
結局のところ、このような状況下においても、犯罪に手を染めることなく適切な手段を講じることが求められます。同情の余地はなく、強盗殺人という重大な犯罪に加担した責任をしっかりと問うべきです。
<このニュースへのネットの反応>
*た相手も誰かの家族なんですよ。
それが酌量の理由になるなら、ヤクザだって「組織に脅されて仕方なく」「ヤクザだなんて思ってなかった」で鉄砲玉みんなシャバ出てきちゃうでしょ。反社や犯罪組織に自分から手を出した時点で必然の結果なのだから情状に酌量の余地なんてなくて、あり得るとしたら手を出した契機自体が脅迫による場合だけでしょう。
CAST IN THE NAME OF GOD ”YE GUILTY”我、神の名においてこれを鋳造する。汝、(酌量の)余地なし
少年法が免罪符と勘違いしている奴等同様に無知と脅迫が免罪符と勘違い出来るのが既に異常だぞ。
>「ホワイト案件」との投稿を見て、闇バイトと知らずに …*会社だって「我が社はホワイト会社です」、詐欺師だって「この儲け話は詐欺じゃありません」と言うに決まってるでしょ。それをいちいち信じちゃうのですか。
司法取引による加減ならあり得るかもしれんが少なくとも同情という情状酌量は無いな。
こんなSNSで騙された話に緊急避難が適用できるのかと議論しているのがもうね。法律の専門じゃなくとも答えが分かる記事で読むのが無駄でした。
>SNSで「ホワイト案件」という投稿を見つけて、闇バイトと知らずに どれぐらいの労働で給料はいくらって言われたの?ホワイトで儲かる案件というのが本当なら、赤の他人じゃなくて身内を使うのはわかるよね?
わざわざ「ホワイト案件」なんて書かないといけない時点で碌な案件じゃ無いんだよ、例え家族に危害が加わったとしても他人を害してる時点で”自業自得”だ何で他人に危害を加えるのは許されて自身の身辺に危害が及ぶことは認められないんだよ、そんな都合の良い事ばっか考えてるから闇バイトなんてもんに引っ掛かるんだろうがホント救いようのない*だわ。
こんだけ騒がれてるのにあっさり加担してしまう様な奴らは最初から悪意ありと見做して良いんじゃないかって
その辺の求人サイトとかハロワとかだいじょうぶなのかな。てか被害者がまず優先ですよね。やったほうは加害者ですよね
やった本人は死刑か無期で社会から切り離されるけど、言い訳に使われた家族はその後も社会生活をしなきゃならん。親なら育て方間違えた責任もあんだし実行せずに逃げた仕返しされる方がなんぼかマシだわ。
よく知らんけど、組織犯罪に酌量とかあんの?(*´・ω・`)
家族に被害が?ほーん、個人情報全部掴まれてると?ずっと行動見張られてるの?捕まらなければどうとでもなると思って結局強盗しただけじゃないの。実体のない企業の求人を取り締まれるようにしなきゃ、違法バイトは一向に減らんだろうから、法律で何と*る方法もそろそろ考えるべきでは?
アイヒマン実験だな。「人は誰でも特定の状況にいると、非人道的な行為であっても権威者の指示に服従してしまう」だからと言って強盗殺人は到底許される行為ではないし、やったことに責任を取らないといけない。
まず*た被害者と遺族への謝罪が先だろ。
どうして怪しい仕事に応募する前に、自分や家族が被害者になる可能性を考えなかったの?
コッソリ警察に通報することぐらい出来ただろうに
闇バイトがこれだけ取り沙汰されて、いくらでも気の付けようがあっただろうに「ホワイト案件と書いてあったから」なんてそれを鵜呑みにして信じる方がどうかしてる。
資格なし、経験なし、技能なしで高時給はキツイか危険かのどちらかに決まってるだろ。ガキならともかく、30代とかでもそれが分からないは嘘だろ。
自分が生きるために他人に危害を加えた。その最初の動機は「金が欲しかった」でしょ?家族が危険に晒されたのはその後の話。さらに、家族のために他人に危害を加えたとしても、その行為に対して報酬を受け取っているよね。「家族に危害が及ぶかも」を免罪符にして、犯罪行為に味を占めたようにしか見えないんだよなあ。
加害者が逮捕されて加害者がそこそこイケメン君だったりしたら、俄に加害者を擁護しだす奴が出てくるんだよなぁ。必死にネットで減刑嘆願とか集めたりしてさ。ハゲデブだったら容赦無いくせに。
闇バイト探してる時点からもう社会にいらない人間なんスわ
難しい問題やな~。ただ犯罪だからって捌けたら楽なんだけどこういう闇バイトに引っかかる人は境界知能とか幼少期の環境悪くて正しい判断ができない人とか同情できる余地はあるんだろうけど、だからと言って刑を軽くするわけにもいかないし逆に社会的に見捨ててしまえば後々にまた犯罪に加担して治安悪化の一途をたどるしなぁ。どうにか犯罪を犯す前に掬い取れないものなのか。
同情の余地なんてねえよ家族を言い訳にすりゃ減刑にでもなるとか吹き込まれんてんだろ。あんなのに集まるおつむも無ければ倫理観の欠片もない畜生以下が家族が如何こうとか気にも留める訳がない。